悪狐トヤズネに祟りを頼む
どんな伝承か
那賀郡D村の屈指の財産家をめぐる話。その家に恨みをもつ女が、数十年前、隣村のトヤズネという悪狐に油揚を持って行き、「あの家へ行き祟ってくれ」と頼んだ。それがもとで、その家の主婦が狐つきになって苦しみ出した。大社へ行って弓を引いてもらったりしたが、狐がいうには、子が二、三匹いるうえ自分の身体は犬に食われて帰れないとのことで、それ以来その家は狐持ちといわれるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(改訂版))
速水保孝『憑きもの持ち迷信―その歴史的考察』の改訂版。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、つきもの持ち迷信による差別を内側から告発し、その歴史的基盤を考察する。序章で研究に志した動機・問題の核心・結婚に直面しての苦悩を語り、人権を脅かす実例として狐持ちにまつわる隔地心中、次々と破談になる三兄妹、隠岐の人狐解消決議、犬神が乳児を食ったと絶交、堆肥小屋に外道を飼うを挙げる。