問題の核心へ
どんな伝承か
著者は二年間勤めた学校教師という職を捨てて再び上京し、同郷の政治家で大臣になった人のかばんを持ったりしたが、これも二年ばかりでいや気がさして田舎に引っ込んだ。そしてこの機会に、中途で投げ捨てておいた狐持ちの研究を完成させようと決心し、まず自分の居住する加茂町を対象に狐持ち家筋の実態調査を開始した。狐持ちだといわれる家を虱潰しに訪ねたが、誰もそう呼ばれることを好まず、肝心なところを隠されて難航した。調査の結果、総戸数の約一割近くが狐持ち家筋とされ、その本家筋の来住期は一定して江戸中期の新参者で、当時の新興地主階級に属していた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(改訂版))
速水保孝『憑きもの持ち迷信―その歴史的考察』の改訂版。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、つきもの持ち迷信による差別を内側から告発し、その歴史的基盤を考察する。序章で研究に志した動機・問題の核心・結婚に直面しての苦悩を語り、人権を脅かす実例として狐持ちにまつわる隔地心中、次々と破談になる三兄妹、隠岐の人狐解消決議、犬神が乳児を食ったと絶交、堆肥小屋に外道を飼うを挙げる。