睾丸が時計代わりの男
どんな伝承か
明治十五年七月、島根県飯石郡掛合村に板垣茂一郎という者がいた。疝気持ちで睾丸が普通人の三倍ほどもあったが、村人と野良仕事に出ても正午が来ると一秒も違わずに「それ十二時だ」と言い当てるので、便利がられ不思議がられていた。絵図面を引くのが上手なため地租改正の際に図面引の係に雇われ役場へ通うようになったが、そこでも昼の弁当の時刻を寸分違わず言い当てた。役人がどんな上等な時計を持っているのかと尋ねると、正午になると睾丸がだんだん上って腹部に入り、上りきった時がちょうど十二時にあたる、これが自分の天然の睾丸時計だと答えたので、人々は大笑いしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件