7:十円紙幣を金毘羅の御札と思って神棚へ
どんな伝承か
伊豆国那賀郡松崎の村に住む寡婦の老婆・多喜は、神棚に十円紙幣を祀っていた。知人が理由を尋ねると、ある日海辺で油紙に包まれた金毘羅様の御札を五、六十枚拾い、粗末にしては罰が当たると思って一枚だけ持ち帰り、残りは拝んで海へ流したのだという。実はそれは明治新政府が独逸で製造させたばかりの新紙幣で、藩札しか見たことのない文盲の彼女には金毘羅大権現の守札としか読めなかった。峡中新聞に載った明治初年の珍聞という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件