31:足の裏に日月の模様がある天狗のお弟子
どんな伝承か
備中の高梁に住む岡山県士族武野武平は金毘羅の信者で、明治三年三月十日、讃岐へ参ると言い残したまま行方を絶った。妻およしは神隠しにあったかと思い、その日を命日として法事を営んでいた。ところが十年後の明治十三年三月十日、法事の最中に武平がのっそりと帰ってきた。行衣に笈を負い兜巾をつけた姿で、讃岐の象頭山金毘羅に留まって行者となり、天狗の仲間入りをして難病を治す法を授かったと語り、証拠として日月の紋があらわれた足の裏を見せた。難病人を足で踏む荒療治が評判となり、のちに警察に拘引された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件