魚瀬部落の大組と小組
どんな伝承か
高橋タツの申告を受けて法務局の調査官が報告した内容による。申告者の高橋家が狐持ちだということは、中崎長一が言いだすまでもなく既にその色彩があったようだが、タツが大野村の狐持ちの家から嫁いできたことで決定的になったと思われるという。このタツの実家がある魚瀬部落では、ほとんど全部落が狐持ちの家で、全戸数百戸ほどのうち無色すなわち狐持ちでない家は十五戸ほどしかない。そのため部落では狐持ちの方が大組と呼ばれ、無色の方が小組と言われているほどであった。狐持ちの方が数でも勢力でも勝る部落である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(改訂版))
速水保孝『憑きもの持ち迷信―その歴史的考察』の改訂版。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、つきもの持ち迷信による差別を内側から告発し、その歴史的基盤を考察する。序章で研究に志した動機・問題の核心・結婚に直面しての苦悩を語り、人権を脅かす実例として狐持ちにまつわる隔地心中、次々と破談になる三兄妹、隠岐の人狐解消決議、犬神が乳児を食ったと絶交、堆肥小屋に外道を飼うを挙げる。