例二=傘が上空に取り上げらる
どんな伝承か
松江市外中原町の吉城家から北へ五、六軒目に、樋口孫六という柔術家が住んでいた。ある雨の降る夜、下男を供に外出し、外中原の氏神である阿羅和比神社の前にさしかかると、何者かが傘の頭をつかんで上へ持ち上げようとした。樋口は剛胆な士なので少しも慌てず、帰りがけまで預けておくと言って傘の柄を離すと、傘はそのまま中天へ昇っていった。訪問先から帰ってその場所へ来ると、傘は上空からひとりで下りてきて樋口の手に戻った。樋口は愛宕の天狗が自分を試したのだと気づいていたので、少しも慌てなかったという。
原典より
前項の吉城家から北へ五六軒目に、その時代に樋口孫六と云ふ柔術家が居たが、或る雨の降る夜に僕を供にして外出をして、外中原の氏神なる阿羅和比神社の前へかゝると、何者か、傘の頭を掴んで上へ持上げやうとする。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))