稽古まで積んだ菱江村の計画的降札
どんな伝承か
暗越奈良街道に沿い、町場らしい気風をもつ若江郡の菱江村では、十一月の下旬に札が降り、十二月八日まで「おかげ入用」の記録が続く。寄進は十二月一日から六日にかけて集まったが、初日は自分の村の者だけ、二日目からは隣村、やがて遠方の村へと、日を追って輪が外へ広がっていった。踊りを取り仕切ったのは札の降った当家ではなく若中で、中心になる踊り手は日ごとに入れ替わり、波及を見越して稽古まで積んでいた。この村の騒ぎには偶然の要素がほとんどなく、初めから筋書きがあったに等しい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか(高木俊輔・1970年代~1980年代(推定))
本書は幕末維新期の慶応3~4年(1867~1868年)に東海地方から四国地方にかけて流行した「ええじゃないか」という民衆運動を詳細に記録した研究書である。神社仏閣の札が降下する「お札降り」現象を契機として、老若男女が「ええじゃないか」と囃しながら踊り狂い、祝宴を催す集団心理現象が急速に波及した。