巻蒲団で運ばれた侏儒の壮丁
どんな伝承か
同月九日午前六時、大阪府河内郡の郡役所議事堂内で徴兵検査が執行されているところへ、みすぼらしい服装をした五十格好の女が、巻蒲団に包んだ子供を抱いて小使室に現れ、この子の徴兵検査を受けに来たと言った。小使が見ると、身体こそ赤ん坊のように小さいが、立派に青年の面相をした男がすやすやと眠っている。調べると同郡英田村大字水走一一二八番地の小田三郎、明治三十六年八月十日生まれの二十一歳の壮丁であった。検査場で身体検査を受けた結果は身長二尺三寸、体重三貫百匁で徴兵免除。頭部だけが発達する通例の侏儒と違い、小さいながら全身の釣り合いが完全にとれているので、係の軍医もひどく珍しがったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件