生存競争の嫉妬で狐持ちにされる
どんな伝承か
島根県簸川郡今市町の地方では、昔から狐持ちといわれる家は別としても、近ごろ世の中の生存競争が激しくなるにしたがい、甲の家が旭日昇天の勢いで栄えていくようになると、他の者が羨んでどうにかして陥れてやりたいと思い、何やかやと手を打った結果、甲の家を狐持ちだという世間の風評にしてしまう、と報告されている。著者はこれを、財産上・政治上の争いによって狐持ちが指定されたことを物語る例の一つとして挙げている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(改訂版))
速水保孝『憑きもの持ち迷信―その歴史的考察』の改訂版。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、つきもの持ち迷信による差別を内側から告発し、その歴史的基盤を考察する。序章で研究に志した動機・問題の核心・結婚に直面しての苦悩を語り、人権を脅かす実例として狐持ちにまつわる隔地心中、次々と破談になる三兄妹、隠岐の人狐解消決議、犬神が乳児を食ったと絶交、堆肥小屋に外道を飼うを挙げる。