例三=鰐淵寺山の怪
どんな伝承か
明治四年ごろ、松江県の社寺係官吏として山本淡蔵ら二名が出雲国内の神社仏閣の御神体調べに各地を巡り、最後に神門郡鰐淵村(現出雲市別所町)の不老山鰐淵寺を訪れ、松本坊で一泊した。夕方、奥書院で和尚と酒を酌み交わしていると突然暴風雨となり山が鳴動し、上空から三尺足らずの巨石が庭の真ん中に落下した。山本らは仰天したが、和尚は微笑み「天狗、天狗」と低い声で告げたという。鰐淵寺の山には古来天狗が棲み、気に入らない者が一泊すると必ず山が荒れると伝わる。明治の初め、松江藩士の綿貫某がこの寺で一泊した夜も大荒れとなり、寺男が綿貫の持参した魚を谷川に捨てると山荒れは静まったという。
原典より
明治四年ごろ、松江縣の最初の社寺係りの官吏として、山本淡藏外一名が、出雲國内の神社佛閣の御神體調らべに各地を巡回したとき、廻り果てゝ神門郡鰐淵村なる不老山鰐淵寺に行き、松本坊で一泊をしたことがあつた。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))