かつて石鎚神を介して神憑りを受けた文治郎が
どんな伝承か
筆者は、安政二年四月二十九日の夜に石鎚山の先達古川治郎に憑って自ら石鎚神と名乗った神霊と、安政五年三月十五日以後に備中大谷の川手文治郎自身が感通するに至った金神とは、別の神であると見る。ただし両神が無連絡に出顕したのではなく、石鎚神は大地の親神である金神の代理として顕われ、その意志を人間界に取次ぐ役だったのであろうという。さればこそ古川治郎の口を通して語りかけたのはあの一夜だけで、その後文治郎に直接感応した神は金神のみであった。金神はこの年から自ら金乃神と改名した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・昭和)