全国共通の迷信――鬼門
どんな伝承か
妖怪学を説く井上円了は、鬼門や金神を恐れる迷信の根強さを批判した。かつて信州佐久郡内を巡講した際、ある村の小学校移転をめぐり、すでに敷地も設計も決まっていたのに『鬼門に触れるから見合わせるべきだ』という議題が村会で持ち上がったという。円了は鬼門の起源が中国の俗説にすぎないことを説き、地球上どこにも不吉な方角などないと論じて、この迷信を笑うべきものだと断じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・明治(妖怪学))
『妖怪博士』井上円了による『迷信の諸相・宗教の真相』。迷信を道理に背くことを誤って信じる心理と定義し、妖怪学の立場から全国を巡遊して各地の迷信を実地に報告・批判する(迷信打破)。