大蜘蛛が糸を掛けた淵・通らず
どんな伝承か
田口の馬坂と狭岩の間には、通らずと呼ばれる淵がある。むかし村の人がその縁を歩いていると、川中から河童のような大蜘蛛が現れ、足に糸を巻きつけて水へ引きずり込もうとした。男はあわてて糸をほどき、そばの太い杉の切り株に結びつけた。すると蜘蛛はその株ごと川へ引き込んでしまい、男は青ざめて逃げ帰ったという。以来だれもそこを歩かなくなったので、この淵は通らずと呼ばれるようになった。今も子どもたちは河童にさらわれるといって、ここでは水を浴びない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌・自治体史(民俗))
『南佐久郡誌 民俗編』第十三章所収の伝説・世間話。長野県南佐久郡に伝わる口承を採録する。