龍門渕の大蜘蛛
どんな伝承か
昔、佐久町大日向の石堂に龍衛門という大の釣り好きが住んでいた。ある日いつものように龍門渕で糸を垂れていると、大きな蜘蛛が現れて龍衛門の足に糸を巻きつけ、淵の中へ引きずり込もうとした。龍衛門はとっさに足の糸を近くの木の根へ絡め替えた。その日はなぜか魚がよく釣れたが、やがてみしみしと大きな音が響き、あたりの地面に大きな裂け目が走った。慌てて逃げ出すと、いま立っていた場所は淵へ崩れ落ち、龍衛門は釣りざおを抱えたまま一目散に家へ逃げ帰ったという。
原典より
ある日いつものように龍門渕へ行って釣っていると、大きな蜘蛛が出て来て龍衛門の足へ糸をからげつけ、淵へ引き込もうとした。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。