親が飲めば酒、子が飲めば清水
どんな伝承か
直弥に「子は清水」と呼ばれる古い家がある。昔この家に、たいそう親思いの息子がいた。父は大の酒好きで、息子はいつも薪を拾い集めて売り、その代金を父の酒代に充てていた。あるとき売る薪が尽き、やむなく門の脇に湧く清水をひょうたんに汲んで父に差し出すと、父は飲むほどに気持ちよく酔っていった。不思議に思った息子が自分で口にすると、それはただの冷たい清水だった。以来息子は酒を買うことをやめ、父はいつも心地よく酔っていたという。養老の滝と同じ型の、親が飲めば酒、子が飲めば水になる清水の言い伝えである。
原典より
酒にかえる薪のなかった時、門辺に湧き出る清水を瓢に入れて父にすすめたが、飲むほどに心地よく酔ってゆくのである。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。