病気平癒の寄祈祷で石鎚山の先達古川治郎が神憑りし
どんな伝承か
安政二年四月二十九日の夜、備中大谷の川手文治郎の家では、喉痺で危篤に陥った文治郎のために身内が表の間に集まり、寄祈祷が行われた。伊予の石鎚山を信仰し先達をつとめる義弟の古川治郎が御幣を手に神壇の前に坐り、石鎚神をはじめ神々に平癒を祈って降臨を乞うた。やがて治郎の顔面が紅潮し、唇のあたりがぴくぴく動いたかと思うと人格が転換し、形相森厳となった治郎は突如口を開いて自ら「石鎚神」と名乗り、「建築、移転につき、豹尾金神に無礼をいたしおる」と語気も荒く言い放ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・昭和)