歩き出した八人の位牌と木塚明神
どんな伝承か
八人御先の噂は元親の耳にも入り、城中にまで火の玉が飛んで、発狂する者も病む者も出た。元親は城下の寺に祈禱を命じ、寺では八人の位牌を拵えて本堂の台に据え、数十人の僧が読経した。すると台の上の位牌が動き出し、親実の位牌を先頭に順々に落ちて列を作り、本堂を出て往って消え、空の方で数人の笑う声がした。国中の寺へ命じた二日三夜の大供養では、読経する僧の首が皆右へ捻じ向いて動かなくなった。困じた元親の前で近侍の少年が急に狂ったようになり、「我は左京之進殿の使者じゃ、左京を神にして祭るとなれば喜んで受けられる」と告げた。そこで木塚の親実の墓を改めて社とし、木塚明神として祭ったところ、怪異はようやく少なくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・明治~大正時代(編纂・出版は20世紀前半推定))
宝蔵の短刀=怨霊と祟り(日本の怪談)/幽霊の自筆・船頭の霊/義人の姿と因果応報/土佐・各地の怪異/田中貢太郎の怪談