墓地に帰る海の霊
どんな伝承か
城東中学校四年生のとき、連合演習が種崎で行われた。私は千松公園の東海岸で小休止中の部隊から離れ、一人砂浜に大の字になって星を眺めていた。気づくと部隊はいない。立ち上がると、はるか沖から赤とも黄とも青とも見える灯が、波のうねりとともに上下しながら岸へ近づいて来た。舟も人も見えず、灯だけがゆうゆうと千松公園の墓地に吸い込まれ、ばったりと地上に消えた。全身が硬直し、動けるようになってから小銃に着剣して墓地へ近づくと、松風と波の音、静かに並ぶ墓標があるだけだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。