宙を行く人の気配
どんな伝承か
私が小学一年生のとき、祖母が中気で危なくなり、一家そろって勿来の関の麓の大津港にある父の家へ行った。祖父は「この家はできてからずっとおもしろいことがある」と言い、祖母の寝る十五畳の仏間に皆を集めた。夜半、仏壇の中からトントンという音とサラサラという衣ずれの音が起こり、壁の中を伝って左回りに動き、襖も障子も開けずに廊下を回って仏間へ戻ると消えた。翌夜、祖父が日本刀で音めがけて斬りつけたが、音は何事もなく刀先をすり抜けて行ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。