猫の踊
どんな伝承か
柴田家の備後は前日に丹精して十匁弾を鋳、翌朝ひとりで北山へ入った。獲物がないまま寒い谷を下ると、路の左手の大岩の上に眼の光る山猫のような獣がいた。撃つと何かに弾の当たる音がし、数を読む声と激しい嘲笑が聞こえた。二発、三発と撃つたび怪獣は手にした黒い器で弾を受け、順々に数を取っていく。十を数え終えた怪獣が器を投げつけ「備後、もう弾はあるまい」と飛びかかろうとした時、備後は皮袋の余分の一発を込めて放ち、怪獣は叫んで消えた。器は自家の茶釜の蓋で、五、六日後、床下から飼猫が胸を撃たれて死んでいるのが見つかった。
原典より
老女は淋しい廊下を通って便所へ往った。—— 日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・明治~大正時代(編纂・出版は20世紀前半推定)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・明治~大正時代(編纂・出版は20世紀前半推定))
宝蔵の短刀=怨霊と祟り(日本の怪談)/幽霊の自筆・船頭の霊/義人の姿と因果応報/土佐・各地の怪異/田中貢太郎の怪談