西宮の踊り騒ぎ(福地源一郎)
どんな伝承か
慶応三年十一月二十九日の暮れ、兵庫に着いた福地源一郎は大阪へ急ごうとしたが、西宮に至ると市中が舞踊に狂い呼して人足を一人も雇えなかった。諸神の御札が空から降ると信じられ、老幼男女が華やかな衣装で鳴物を鳴らしながら「ええじゃないか」と踊り狂っていたためで、一行はやむなく西宮に一泊し、翌日ようやく大坂に着いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本社会経済史の諸問題-維新の御札降り(土屋喬雄・昭和期(戦前~戦後))
本書は幕末維新期に日本全国で発生した「お札降り」現象を、社会経済史的観点から分析した学術著作である。慶應3年秋から明治元年にかけて京都・大阪から始まった神仏の札が空から降るという現象は、「ええぢゃないか」という歌と踊りとともに全国的に波及し、民衆を狂信へ陥らせた。著者は、天保期の民謡に既に表れていた社会不安、安政開港後の物価騰貴による民衆の窮迫が背景にあることを指摘。