お雪の宮
どんな伝承か
播州印南郡の阿弥陀村に、庄屋の平村金兵衛という美男の当主がいた。代官の娘お花を妻に迎えたが、お花は醜く嫉妬深く、五年連れ添っても子ができない。金兵衛は忠兵衛の娘お雪を見初め、跡継ぎがないのを口実に妾とし、邸内の新座敷に住まわせた。お雪が身ごもると、お花は女中お米と謀り、秋祭りの日にお雪を裏へ引き出して斬り、腹の子まで引き出して金兵衛の夕餉の刺身に供した。その夜、血まみれのお雪が現れて訴え、以後お花の部屋に夜ごと現れた。お花は自ら咽喉を突いて死に、お米も同じ最期を遂げた。金兵衛は小さな祠を建ててお雪を祀ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化と幽霊 怪談揃ひ(明治時代後期(推定))
本書『お化と幽霊 怪談揃ひ』は、明治時代に大文館編輯部により編纂された怪談集であり、化け猫、怨霊、大入道など多様な超自然現象を扱う。主要テーマは、社会的弱者(娼婦、下女、村娘)への虐待と階級差別に由来する呪いと復讐である。兵庫県と大阪府が舞台の中心であり、遊郭での憑依現象、精神病院での怪病、山間部での大入道の出現など、当時の社会構造と結びついた怪異が描かれる。