借りた蒲団に残ったお総の霊
どんな伝承か
神戸の下山手通に岡田寛治という家があった。その近所に梶川三吉という放蕩者と、妻のお総、娘のお花が住んでいる。三吉は家財も蒲団までも質に入れてしまい、お総は岡田家から借りた蒲団にくるまって寝ていたが、そのまま病を得て亡くなった。その後、岡田家の妻がお総に貸していた蒲団で休んでいると、夜中に赤子を抱いたお総の幽霊が現れた。蒲団にお総の霊が残って迷い出るのだろうと考え、岡田家がその蒲団を売り払ったところ、幽霊は姿を見せなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化と幽霊 怪談揃ひ(明治時代後期(推定))
本書『お化と幽霊 怪談揃ひ』は、明治時代に大文館編輯部により編纂された怪談集であり、化け猫、怨霊、大入道など多様な超自然現象を扱う。主要テーマは、社会的弱者(娼婦、下女、村娘)への虐待と階級差別に由来する呪いと復讐である。兵庫県と大阪府が舞台の中心であり、遊郭での憑依現象、精神病院での怪病、山間部での大入道の出現など、当時の社会構造と結びついた怪異が描かれる。