月賦を取り立てた高利貸谷の幽霊
どんな伝承か
今の神戸市、当時の葺合村字筒井に谷という高利貸がいた。妻と二人暮らしで、十万円以上の財産をほとんど現金で持ち、細民相手に五円十円の月賦で貸し、毎月二十五日から自分で取り立てに回る辛辣さから鬼の谷と呼ばれていた。谷は明治三十二年三月十九日、卒中のような有様で死んだ。ところが同月二十五日、谷は例の手提げ鞄を脇にして葺合の元長、八幡の三木太市方に現れ、月賦を取り立てて帰った。顔色がすぐれず言葉も少なく、金を受け取ると挨拶もせず飛ぶように去ったという。翌二十六日に死が知れ、取り立てた金は谷の家の帳箪笥の引出しに月賦の通帳とともに納まっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
修羅挑天 仏教より観たる幽霊の正体(修羅挑天・仏教・幽霊論・近代(戦前))
幽霊・霊魂を仏教教学の立場から体系的に論じる。緒説(今更何のための幽霊論・霊魂論と宗教)に始まり、俱舎論の幽霊(四生と四食・四有の循環)、唯識論と幽霊(世親の大小兼論・阿頼耶縁起)、起信論の幽霊(真如縁起・三細六麁・大霊の印象)、諸経諸宗の幽霊(法華経・真言密教)を解説する。