寛政三年・松江藩の人狐禁圧御触書
どんな伝承か
寛政三年八月、松江藩庁は神門郡二部村に起きた人狐迷信事件に関連して迷信打破の御触書を出した。狐持ちの汚名を蒙った家は親戚まで絶縁され、田畑・山林・家屋敷を売ろうにも買い手がつかず、諸人の難渋は一方ならぬとする。人狐などは愚昧な百姓町人の心得違いと祈禱師の奸曲から作り出された邪説で、和漢の書にも載らぬと説き、今後人狐を触れ回る者は訴え出よと命じ、買い手のつかぬ土地は強制的に主を定めることもあると布告した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(改訂版))
速水保孝『憑きもの持ち迷信―その歴史的考察』の改訂版。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、つきもの持ち迷信による差別を内側から告発し、その歴史的基盤を考察する。序章で研究に志した動機・問題の核心・結婚に直面しての苦悩を語り、人権を脅かす実例として狐持ちにまつわる隔地心中、次々と破談になる三兄妹、隠岐の人狐解消決議、犬神が乳児を食ったと絶交、堆肥小屋に外道を飼うを挙げる。