加茂町の狐持ち実態調査
どんな伝承か
著者は投げ捨てておいた狐持ち研究を完成させようと決心し、自らの居住する加茂町を対象に狐持ち家筋の実態調査を始めた。狐持ちとされる家をしらみつぶしに訪ねたが、誰も好んで語らず難航した。だが著者自身が狐持ちの家の子であることが気安さを与え、娘の自由な結婚を望んで協力する家もあった。調査の結果、総戸数の約一割が狐持ち家筋で、その本家筋の来住期が江戸中期の元禄享保頃から寛文頃までの新興地主に集中していたと判明した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(改訂版))
速水保孝『憑きもの持ち迷信―その歴史的考察』の改訂版。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、つきもの持ち迷信による差別を内側から告発し、その歴史的基盤を考察する。序章で研究に志した動機・問題の核心・結婚に直面しての苦悩を語り、人権を脅かす実例として狐持ちにまつわる隔地心中、次々と破談になる三兄妹、隠岐の人狐解消決議、犬神が乳児を食ったと絶交、堆肥小屋に外道を飼うを挙げる。