狐持ちの田は耕さぬ
どんな伝承か
叔母の婿探しの一件を耳にした著者は、畑仕事から帰った作男をつかまえて問いただした。作男は「狐持ちといわれる家筋の人と、そうでない普通の家の人とは親類になれない」と言い、「昔は田んぼだって、狐持ちの家のはいやがって、誰も耕さなかったそうだ」と語った。著者が、狐は悪いことなどしないし家に狐などいないと反発すると、作男は迷信であるとしながらも、世間の人は信じないながらもまさかの時には参ってしまうからだと言葉を濁した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(改訂版))
速水保孝『憑きもの持ち迷信―その歴史的考察』の改訂版。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、つきもの持ち迷信による差別を内側から告発し、その歴史的基盤を考察する。序章で研究に志した動機・問題の核心・結婚に直面しての苦悩を語り、人権を脅かす実例として狐持ちにまつわる隔地心中、次々と破談になる三兄妹、隠岐の人狐解消決議、犬神が乳児を食ったと絶交、堆肥小屋に外道を飼うを挙げる。