島根半島北岸 隣浦で狐持ち偏在
どんな伝承か
民俗学者石塚尊俊による、島根半島北岸の憑きもの筋の偏在についての調査である。この地方では、一方に五〇〜六〇パーセントもの憑きもの筋を擁する浦がありながら、それにごく接近して一戸もないという浦があり、甚だ奇異な現象であった。海村で互いに孤立した地勢にあるとはいえ、隣り合う浦で過半が狐持ちの所とまったくない所があるのは理解に苦しむ。そこで石塚がこの地区一帯の婚域を調べてみると、憑きもの筋の多い所ほど部落内婚が多く、少ない所ほど部落外婚が多いという結果があらわれた。憑きもの筋の偏在が、婚姻の範囲と深く結びついていることが示されたのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・石塚尊俊・民俗学・昭和(民俗調査))
民俗学者・石塚尊俊『日本の憑きもの―俗信は今も生きている』。日本各地の憑きもの俗信を実地調査と文献で体系化した研究の決定版。