盲目の忠春が初めて宗忠を訪ねて入ってくるや
どんな伝承か
弘化二年十一月のある日、悪性の眼病で両眼を失明していた赤木忠春は、播州の名灸へ向かう途中に叔父西村斎助との義絶を悔い、翻然と車を南に走らせて備前上中野村の黒住宗忠を訪ねた。忠春三十歳、宗忠六十六歳。その日はたまたま信者たちの集会日に当たり、宗忠は高座で説教中であったが、盲人の忠春が入り来るのを見るや喜色満面、いつもの明朗な大声で「赤木氏、ようこそ見えられた。待ちかねて居りましたぞ、ずっと近うお寄りなされい」と呼びかけた。一面識もない己れの姓を突然呼ばれ、忠春は甚だ奇異の思いに打たれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・昭和)