粟島の八百ベクサン
どんな伝承か
昔、国分の里のあいちという豪家の男が、積善の報いだろうか、招かれて海底の竜宮城に行った。ある日、退屈して城内を散歩し、たまたま台所を覗くと人体を俎上に横たえて調理していたので、恐ろしくなってひそかに逃げ帰った。竜宮の人はこれを知って「あれは人魚というものであって、決して人身ではありません」と弁解し、姉が浜まで追って来たが、止められないと知って土産にと人魚の肉を投げた。それは男の袴の腰板に挟まっていた。家に帰って竜宮の話をすると、最愛の娘が土産をほしがった。袴を脱いだところ肉片が床に落ち、娘は大喜びで拾って食べたところ、人魚の肉の効験で千年の齢を保っただけでなく、強力無双で大きな岩石も軽々と運んだりした。国分村役場の隣地にこの千年比丘尼の持って来た巨岩があり、下府町字片山の南に向いた山腹には千年比丘の住んだという古墳がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。