人魚を食って死ねなくなった男
どんな伝承か
万治二年のことという。雄勝郡の湯沢にある酒造りの家へ、知り合いの漁師から海で珍しいものが揚がったと届け物があった。開けてみると顔は若い女、体は魚である。人魚だと見立てた者がいた。二、三日は息をしていたが死んでしまい、捨てるのが惜しいというので、この家の主人がひとりで食べた。以来この男は死ねなくなり、数百年を生きたという。生き続ける辛さに何度も自ら命を絶とうとしたが、そのたび息を吹き返した。ある日、羽州の湯殿山へ詣でると言って出たきり、行方を知る者はいない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承