今市町の借金催促と狐持ち指定
どんな伝承か
「民族と歴史」八巻第一号が伝える出雲の例。簸川郡でも今市町の人々は今なお盛んに狐持ちを信じており、この辺りでは弘法大師の信者が祈禱をする。今市から一里ばかりのところにある寺院の坊主が、営利的に狐ばらいの祈禱の根元をなしているといわれる。また今市の東一里ほどの某村では、昔、ある財産家を狐持ちだと刻印づけた者があったが、その原因を調べてみると、まったく借金の催促があまりにも厳しかったのを恨んだ結果であったという。能義郡の某村には大狐持ち系統といわれる大富豪があり、何の欠点もないのにその家筋の人々を嫌い、所有田地を買い受けることさえ拒む風習があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
つきもの持ち迷信の歴史的考察――狐持ちの家に生れて(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(1953頃))
速水保孝『つきもの持ち迷信の歴史的考察―狐持ちの家に生れて』(柳田國男序)。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、つきもの持ち迷信による差別・人権侵害を内側から告発し、その類別と歴史的背景を考察する。