夜ごと墓場をめぐる同窓の友
どんな伝承か
筆者の中学時代の同窓に、墓場を歩くのを好む男がいた。のちに農学博士となった那須皓である。本郷弓町の下宿へ遊びに来ては、わざと夜更かしをし、帰りしなに一人で伝通院の墓地や谷中の墓地を一時間も二時間もめぐったという。家は湯島にあり、まっすぐ帰ればほんの一またぎの距離なのに、わざわざ大回りをするのである。怖くはないのかと尋ねると、心持ちが澄んで仙人になったようだ、頭がすっきりする、平気だ、と答えた。年齢を繰り上げて進学していたので、その頃の那須は実際には十二、三歳だったかもしれないと筆者は書いている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編者)・昭和中期~後期(推定1970年代~1980年代))
私は幽霊を見た=怖い怪異体験(東雅夫編)/人魂・鬼火・狐火/機関車・電車の怪/各地の幽霊目撃談/不気味な怪音と怪異