涙ながらに書かれた詫状
どんな伝承か
浅草から歩いて帰った少年は、空腹のまま食卓に置かれた母の訓誡状と亡父の写真を見つけ、飯も食わずに泣きながら詫状を書き始めた。自分でも自分が分からない、また元の病気が出た、悪いと知りながら悪心が勝つ、先生の家へ行こうと思っても行く気にならない――そう綴り、友人から一円借りたこと、学校を休んで生徒監に心配をかけたことを詫びている。中学を出たら南米へ行って偉くなりたい、今日から真人間になると書いて結んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、雑誌『變態心理』を主宰した中村古峽による変態心理学の論集である。二重人格・夢遊病・狐憑き・神隠し・催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教の神懸りを妄想や人格変換として退け、霊能を称する火渡りや針刺しなどの実験の種を明かす。終わりには迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収め、著者自身の被験者や綾部の大本教訪問の見聞も例に引く。