夢の預金を下ろしに行った老人
どんな伝承か
ヒステリーや神経衰弱、酒毒におかされた人、あるいは老いた人には、夢で見たことを現実の出来事と信じ込んで動きだす例がある。小石川の養育院にいた六十過ぎの男は、早朝に門を出て電車通りを歩き、神保町から水道橋、神田橋を経て日本銀行の窓口に立ち、六百数十円の預金を下ろしたいと申し出た。通帳はなく、様子がおかしいので巡査が調べたところ、預金があると思い込んだのは前夜の夢によるものだった。男は我に返り、とぼとぼと養育院へ帰っていったという。同じ型で、夢に見た強盗を実際の被害として届け出た農婦の例も挙げられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽・大正10年代~昭和初期(推定1920年代))
二重人格の諸事例(變態心理と犯罪)/アンセル・ボーン/フェリダの交替人格/変態心理と犯罪/催眠と記憶障害/憑依とされた病理の科学的説明