遊動する気瘤(外道憑き)
どんな伝承か
狐狸や外道の類が憑いたと見なされる人の身体、特に手に、突然蜜柑ほどの気瘤が生じ、不随意に各所へ移動することが昔から知られる。昔の人はこれを憑物の本体と信じ、現代医学ではヒステリー患者の病的現象、血行不良による瓦斯の停滞などと説く。数年前、石見国大田町字粕戸の板根活版所の六歳の男児が、小学校の運動場の横で外道が徘徊するのを見て感心して帰ると、その夜から異常な精神状態を呈してさまざまなことを口走り、両手が強直して動かなくなり、発熱した。やがて肩の下に気瘤ができ、手の各所を遊動したので、外道が来たのではないかと疑われたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期(1927))
心霊研究家・岡田建文が昭和二年(一九二七)に著した『動物界霊異誌』。現代物理は宇宙の大物理の末梢に過ぎぬとの立場から、動物の霊異を迷信的虚妄として退けず証明すべき事例として収集する。蝦蟇(ヒキガエル)の章では、蛇を埋めてクリ茸を生やし食う怪(島根波根東村)、背に五寸釘を刺され口から怪光を吐く大蝦蟇(会津若松龍田屋、同時に幼児が高熱)、猫を灰色の液汁に溶かす怪(石見久利村)、慶応二年に浄土寺へ夜ごと現れた武士の正体が蝦蟇だった話を収める。