例四=種々な惡巫山戯
どんな伝承か
天狗の悪ふざけの例である。松江市の東北二里にある枕木山は、推古天皇時代の建立という華藏寺のある霊山で、山巓に昔は天狗が住み、気に入らぬことがあると荒れた。寺の小僧が馬場の高さ十四、五間の大杉の頂へつかみ上げられて騒ぎになることもたびたびあったので、和尚が怒って天狗を封じ、隠岐国へ追いやったという口碑が残る。また石見国安濃郡多根村大字野城の野城川を見おろす丘陵には、天台宗の古刹・圓城寺がある。文政年間、老僧の住持が供物を中腹の礼拝堂までしか運ばなくなると、天狗が機嫌を損じて荒れ出し、飯釜に灰を投げ込んだり、風呂の湯を抜いたり、飼犬を大木の枝に引っかけたりした。もとどおり奥の院まで供物を運ぶと、天狗は穏やかになったという。
原典より
松江市の東北二里にある枕木山は、推古天皇時代の建立の華藏寺と云ふ古刹がある靈山で、山巔に昔しは天狗が居たが、何かが気に喰はないことがあると、頗るあばれたもので、寺の小僧が、馬場にある高さ十四五間の大杉の頂へ掴み上げられて…—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))