チャブ屋の開かずの間と油絵の顔
どんな伝承か
かつて横浜のチャブ屋街だった大丸谷のある店に、誰も泊めない開かずの間があった。そこで寝ると夜中にひどく息苦しくなってうなされ、目を覚ますと、壁に掛かった油絵が真っ赤な外国人の顔に見えるという。いわれを調べると、以前その部屋に泊まった外国の船乗りが重い病にかかり、温かい看護も受けられないまま悶え死んだ場所だということだけは分かっていた。筆者自身が見たわけではなく、当時よく知られた話として覚えているのだという。
原典より
そこに泊ると夜中にひどく苦しくなって、うなされて目を醒すし、醒して見ると、いやでも目につく壁の油絵が真赤な外国人の顔に見えるというのである。—— 私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。