戦地での死と霊
どんな伝承か
復員後、気になっていた靖国神社へ参拝に出かけた。境内は木が切り倒され掃除も行き届かず、拝殿で目をつむり合掌しても、眠っている多くの友人たちの面影を一つ一つ思い出すことはできなかった。参拝を終え市ヶ谷から省線電車に乗ると、急にさみしさがこみ上げ、サイパンで死んだ佐々木、クェゼリンで死んだ寺田、航空母艦で死んだ貝塚や中林ら、死んでいった人々のことを次々に思い出した。霊というものは静かなものだと思った、幾十万の霊が嵐も起こさず、ただ静かに眠っているのだと。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編者)・昭和中期~後期(推定1970年代~1980年代))
私は幽霊を見た=怖い怪異体験(東雅夫編)/人魂・鬼火・狐火/機関車・電車の怪/各地の幽霊目撃談/不気味な怪音と怪異