血を噴いた御経松と下女の亡魂
どんな伝承か
妙見谷の奥に、幹回りが一丈に近い二股の大松が立ち、御経松と呼ばれる。近くに茅原という豪農があり、伝来の皿を二十枚蔵していたが、下女が誤って一枚を割った。主人は南京皿十九枚と口癖のように唱えて責め続け、思いつめた下女はこの松で首をくくった。以後、亡魂が松にとどまったものか怪異が絶えず、茅原家も絶えたという。奇特な者が霊を慰めようと法華経を根方深くに埋めたことから、この名がついた。のちに伐採が決まり、木挽が鋸を入れると血のような液が噴き出し、木挽は高熱を発して死んだ。今は誰も手を出さない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。