有楽町を襲うゴジラと鯰絵の鯰男
どんな伝承か
民俗学者柳田国男の妖怪論をめぐる考察。妖怪変化のイメージは都市の住民が作り出したものとみられる。一九八四年に復活公開された怪獣映画のゴジラは、東京の真ん中の有楽町に出現し、娯楽の殿堂であった日劇を破壊して大東京を壊滅させる大怪獣である。海の彼方から巨大な怪獣が都市を襲うというこのモチーフは、安政二年の大地震のとき海の彼方から現れて豪商をつぎつぎ懲らしめたという鯰絵の鯰男と同じである。いずれも破壊者でありながら世直しと再生の願いを担っていると論じられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・宮田登が、妖怪を『日本の見えない空間』の問題として論じた現代民俗学の名著。Ⅰ妖怪のとらえ方では、柳田国男『妖怪談義』の妖怪論(妖怪は出る場所が決まり、零落した神)と、幽霊(都市の人間関係から相手を追って出る)との区別、昭和五十四年に流行した口裂け女(受験社会で母に叱られる子供の心意の投影、『喰わず女房』の鬼女の再来)と産女、島根県松江の雲州皿屋敷のお菊、明治の井上円了の妖怪学と真怪・仮怪の分類を扱う。