東銀座トンネルに吹きつけられた黒い文字
どんな伝承か
装いを整えた都会の裏側には、荒んだ気配がところどころ顔を出す。日比谷公園前の日本プレスセンタービルでは、細かくちぎった紙片がエレベーターの中に一面まき散らされていた。昭和通りの東銀座トンネルの壁には、みな殺しという黒い文字がスプレーで吹きつけられていた。新宿西口の地下道には、段ボールをつないだ棺桶の形の箱が並び、そのひとつずつに人が横たわっているという。大都会にひそむ狂気の表れだと新聞は書いている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・宮田登が、妖怪を『日本の見えない空間』の問題として論じた現代民俗学の名著。Ⅰ妖怪のとらえ方では、柳田国男『妖怪談義』の妖怪論(妖怪は出る場所が決まり、零落した神)と、幽霊(都市の人間関係から相手を追って出る)との区別、昭和五十四年に流行した口裂け女(受験社会で母に叱られる子供の心意の投影、『喰わず女房』の鬼女の再来)と産女、島根県松江の雲州皿屋敷のお菊、明治の井上円了の妖怪学と真怪・仮怪の分類を扱う。