汽車を四分追い抜いた俥夫小坂弁蔵
どんな伝承か
築地に住んでいた英国人タイルメンが、午前十時四十五分新橋発の列車に乗ろうと駅へ急いだが、京橋木挽町十丁目まで来たところで発車の汽笛が鳴ってしまった。橋のたもとで客待ちをしていた俥夫たちに、汽車に追いつけたら賃金はいくらでも払うと持ちかけると、名乗り出たのは本芝四丁目の小坂弁蔵という若者だけだった。弁蔵は鉢巻きを締める間も惜しんで走り出し、列車より四分早く品川停車場へ着いた。英国人は驚喜して銀三弗を渡したが、当時の新橋品川間の車代は十銭ほどだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件