行燈の油をすする鬼子
どんな伝承か
毎晩、永代橋のたもとの居酒屋へ通う老爺がいた。娘を吉原へ売った後ろめたさから、酒はいつも半分ずつしか頼まない。ある夜、五十両を包んだ風呂敷を置き忘れて帰ると、居酒屋の女房が亭主を説き伏せて猫ばばを決め込み、取りに戻った爺をしんばり棒で打ち据えて追い返した。爺は橋から大川へ身を投げる。店は繁昌したが、やがて女房は乱杭歯の生えた醜い赤子を産み、その顔が爺そっくりなのを見て逆上して死んだ。乳母は誰も居つかない。丑満時になると赤子は起き上がって行燈の油をすすり、細い腕を差し出して、もう半分とねだるのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和)