三 『宇治拾遺物語』の炎
どんな伝承か
『宇治拾遺物語』は、宇治平等院の一切経蔵南の南泉坊にこもって往来の者に昔物語をさせ書きとめたという物語で、建暦二年から承久三年頃に成立し一九七話を収める。さまざまな怪異が登場するが、とりわけ心に残るのは巻十一「日藏上人吉野山ニテ逢鬼事」の鬼である。丈七尺ばかり、身の色は紺青、髪は火のごとく赤い怖ろしい鬼が、さめざめと泣いていた。日蔵上人に語るには、鬼は四、五百年前には人間で、人に恨みを残したため鬼となり、仇とその子孫を玄孫まで殺し尽くしてもなお憎しみが消えず、いっそう苦しむのだという。
原典より
* 四 『古今著聞集』の白蟲* 五 「花世の姫」の姥皮* 六 〈〈假名草子〉〉の骸骨* 七 『仁勢物語』の鬼子* 八 〈〈古典落語〉〉の「もう半分」* 九 〈高尾〉の紅葉* 十 『北越雪譜』の…—— 日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路・幽霊・文学史・昭和)