駕籠より先に山頂へ着いた不動信者
どんな伝承か
大震災の前、東京の深川緑町三丁目に加藤という雑貨店主がいた。熱心な不動明王の信者で、卓上に置いた煙草入れや帽子に家人が足を触れると、その者が投げ倒されたように跳ね飛ばされるほどの現象が起きたという。大正九年、加藤は四人と小田原の道了権現へ詣でた。山駕籠が四挺しかなく、彼は神仏へは歩いて参るものだと言って徒歩で後から登ったが、駕籠組が頂上へ着くと、加藤はすでに茶屋で茶を飲んで待っていた。下山でも同じで、一行が小田原駅に着くと切符まで買い調えていた。身が空を飛んだとしか考えられぬと語られた。
原典より
最近の容子は知れぬが、去る大震災の前に、東京深川綠町三丁目に加藤と云ふ雑貨店があつて、主人は熱心な不動明王信者であつたが、その人には、いつも不動尊の靈が宿ってゐるかと思ふほどの不思議が数々あつた。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))