V 屋上より飛翔す
どんな伝承か
別れの日、才一郎は清浄な湯に浴し、土産物を買い調えて荷造りをした。その夜九ツ時に一同と裏へ出て神の姿を拝し、暇乞いをして涙を流した。才一郎は屋根へ昇り、一同は真言を唱えていたが、卓斎の脇差と風呂敷を貸してほしいと乞い、渡すと礼を述べたきり音もなくなった。皆が神前で礼を申し上げ、屋根の跡を望んで祝儀を述べた。翌朝神前を見ると一封の手紙があり、「私儀九ツ半時、御山へ着申候、此段安心被下度候」と記されていた。父の沢井才亮はこの写しを添えて町奉行所へ届け出た。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・昭和)