III 天狗の首領人家に来臨す
どんな伝承か
十五日早朝、才一郎は夢に前の御方が現れ、今晩三尺坊様が来臨されるから清らかに掃除して新菰を敷き替え、来臨の時は提灯を一つ残らず消し往来を禁ぜよと告げられたと言った。町代を通じて奉行所へ届け出たうえ、家内一同が沐浴して灯明を掲げ待った。二更近く、向かいの中島屋が消し忘れた提灯が独りでにくるくると三、四度上下に舞って落ち、後で見ると蠟燭が二本とも折れていた。一同が火を消して平伏し拍手を打ち神号を唱えるうち、才一郎が済んだと言う。神前を見ると供えた神酒は半ば減り、白紙黒木の御幣が置かれていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・昭和)