死の時刻に二階の戸を鳴らした音
どんな伝承か
亡くなる三、四日前、牧野吉晴は筆者の家に立ち寄って酒を重ねた。病後で量を控えていると言いながら珍しく酔い、家の内情や貯えのことまでしみじみと語る。三日後に近くの椿山荘の忘年会へ呼ばれているから、その帰りにまた必ず寄ると繰り返し言い置いて帰って行った。だが当夜、牧野は椿山荘のあと銀座のバーへ回り、そこで階段から落ちて死ぬ。ちょうどその時刻、二階でテレビを見ていた七つの孫娘が、誰かが来て表の戸を鳴らしたと言って駆け降りて来た。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編者)・昭和中期~後期(推定1970年代~1980年代))
私は幽霊を見た=怖い怪異体験(東雅夫編)/人魂・鬼火・狐火/機関車・電車の怪/各地の幽霊目撃談/不気味な怪音と怪異